項羽と劉邦
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
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おもしろかった。劉邦はゴキブリのようにしぶといなあ。読んでたときの事を思い返すと、思わず吹き出してしまうような場面がちらほら。ほとんど、劉邦がらみだった気がしますが。しかし、劉邦があわれでした。彼自身、絶望的なときにしょっちゅう望んでいたように、天下なんか他の人にまかせて沛の町でのんびり暮らせたらよかったんでしょうけどね。劉邦は人の話をよく聞いたから天下がとれたみたいに言いますけど、ただ利用されてただけじゃないかと。あるいは、劉邦はもともと、自分の命を守るために戦い始めた、だから最後まで生き残って、結果として天下が転がり込んだという見方もできるかと。ただ、劉邦に逃げ場はなかったんでしょうな。
思っていたよりも、すごく読みやすかったのが意外でした。人がたくさん出てきますが、久しぶりに出てきた人は何をした人かの説明を繰り返してくれるので、ああ、あの人か、とわかりますし、名前の読み方も何度かふりがながつくので、気になりません。また、中国の地理がわからなくても、読んでいるうちになんとなくわかるようになります。万人におすすめできる本だと思います。
中国の反日運動が問題になっている今日この頃ですが、農民や失業者の反日感情と生活の不満が結びついて過激になってるらしいです。生活の不満が国の内側に向いたら……。