ヒューマノイド

「あの人はヒューマノイドじゃない。・・・本物のヒューマンなの。」
「研究所から、逃げ出してきたんだって。」
「モルモットとして扱われるより、ヒューマノイドのふりをして仕事をしてる方が、幸せだって言ってる。」
「あなたは本物のヒューマンを見たことが無いから、そんな冷たいことが言えるんでしょ。」
ヒューマノイドとヒューマンは全然違う。しゃべる機能がついたヒューマノイドとだって、全然違う。」
「ヒューマンはまるで、私たちみたいな、複雑な心を持ってるみたいで・・・ときどき気味が悪くなる。」
「でも、かわいそうで。研究所では、仲間のヒューマンが何人も死んだって。」
「でも何のための研究? ヒューマノイドは今のままでも十分便利じゃない。」
「それに、なんでいつまでもヒューマンにこだわるんだろう?」
「野生のヒューマンはとっくの昔に絶滅してるのに、ヒューマン研究はずっと続いてるでしょ。」


「え?どうして本物のヒューマンだとわかったかって?」
「はじめは本人が言ってるだけで、私も信じなかったけど、話しているうちに、明らかにヒューマノイドとは違うってわかってきて。」
「さっきも言ったけど、ヒューマノイドより、かなり複雑な心をもってるみたいなの。」


「え?開発中の最新式のヒューマノイド? でも彼は、自分のことをヒューマンだって。」
ヒューマノイド計画の最終段階において、ヒューマノイドとヒューマンは区別不能になる・・・?」