こころ

夏目漱石の「こころ」を読み終わった。
読むのは二度目。
昔読んだときほどの感動はない。つまらなかった。


昔読んだときは、途中から最後まで一気に読んだ後、放心状態になった。
後にも先にも放心状態になったのは、この時だけだ。
しばらく時間がたって落ち着いてから私は考えた。
作者(夏目漱石)が恨めしい。こんなものを書いて。
これを読んだ人が幸せな気持ちになることはありえない。
人を不幸にさせる小説だ。
こんなものを文学だといってありがたがるなら、文学なんてクソだ。
僕は人を不幸にさせるような小説は絶対書かないぞ。


それは僕の人生における一大事件だった。
トラウマみたいなものだった。
だから僕は夏目漱石が嫌いだったのだけど
吾輩は猫である」は意外にも、面白かったので驚いた。


今はこう考えている。
経験にまさるものはないけれど
経験を補ってくれるのが読書であり、文学であると。